Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

「万引き家族」をみる

 土曜日に筋トレジムに行ったとき、水筒を忘れて帰ったので、それを取りに行くついでに筋トレをした。わずか30分ほどの筋トレだが、継続的にやっているのと、アメリカに行っている間、全く筋トレをしなかったので、筋力が落ちるのを実感していた。わずかでも、脂肪が筋肉に変わることによって、体を支える力が出てきたことを実感していた。

 午後から、話題作の映画「万引き家族」を観に、MOVIX京都に行く。噂通り、家族とは何か、親子とは何かを考えさせられた。是枝監督の映画は、これまでから「そして父になる」「海街Diary」などを観たことがあるが、ほぼ同じテーマを扱ってきたように思う。

 祖母の樹木希林演じる初枝を中心に家族が暮らす。息子夫婦とその息子、嫁の妹の5人暮らし。そこに小さな女の子が加わる。この女の子は母親から虐待を受けていて、その家には帰りたくない。初枝の温かい愛情のお陰で、この女の子はこの家に暮らすようになる。血縁でない人たちが寄り添いあって徐々に「家族」になっていく。おばあちゃんの初枝の年金と家を当てにして、暮らしているが、生活費として不足分を「万引き」で埋めあわせる。祖母が亡くなる。死因などの取り調べを受けると、面倒なことが起こると考え、家の床下に死体を隠す。ある時、「万引き」が失敗し、取り調べを受けることになり、それぞれの関係性が徐々に揺らいでいく。そのプロセスで様々な問題が明らかになっていく。とてもほのぼのとしたヒューマンドラマである。

 貧しくて、「犯罪」に手を染めているが、この映画には何のジメジメしたものはなく、明るく、楽しく暮す人びとの生きる姿がある。樹木希林さんのお婆さん役はみごとだった。

 この映画がカンヌ国際映画祭で、最高のパルムドール賞を受賞したことに納得できたが、なぜ安倍首相は羽生結弦がオリンピックで金メダルを取った時、自ら電話をして祝福した。さらに、もうとっくにイギリス人になったイシグロ・カズオがノーベル文学賞を受賞した時にもお祝いのメッセージを送っている。日本人監督の日本映画が最高の賞を受賞しているのに、安倍首相は無視し、政府も完全に無視している。文科省の文部大臣は、文科省に是枝監督を招いて祝福を述べるとしたが、監督は「公権力とは潔く距離を保つ」と述べている。確かに、最近の政治はフィギャースケートなどのスポーツ競技や、芸術活動を利用して、権力支配を強化しようとしている。そうした政府とも一定の距離を取るという是枝監督のスタンスに大きな拍手を送りたい。