Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

ケープタウン・ブック・フェアに参加して

 最近では2年毎に開催されているケープタウン・ブック・フェア(2012年6月15日〜17日)に参加した。今回のメインイベントとして、ケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴのブック・リーディングだった。3日間、初期の作品『泣くな、我が子よ』から、グギは楽しそうに聴衆を前に読んでいた。主人公のジョロゲが学校に通うことができ嬉しかったこと、英語の授業で先生から理解の悪いジョロゲが叱られるシーンなどが鮮明にグギのパフォーマンスによって再現された。1日に2〜3回も繰り返されるリーディングとサイン会には、気の毒に思えた。もう少し何らかの工夫があってもよいのにと思った。グギとの対話ができるようなフォーラムや、グギと若い作家との対話とか、インターネットの時代になり読書離れが進んでいる中で、文学や作家の役割とか。
 私が2007年に参加したケープタウン・ブック・フェアでは多くのワークショップや作家フォーラムやパネルがあった。南アフリカの作家たちの多くが参加し、活発な討論から、さまざまな問題が見えていた。芸術・文化大臣も思わず発言をしたり、読書文化を育成していくためには、国家の財政的バックアップの重要性も確認された。
 ケープタウン・ブック・フェアが開始する以前に需要な役割を果たしていたジンバブエ・ブック・フェアではもっと活気があった。アフリカ中から作家たちが集まり、それぞれの文学観が示されたり、活発な議論があった。
 しかしながら、現在南アフリカでは、教育の現場で教科書が十分に配布されておらず、州単位では教科書が倉庫に眠ったままであったり、子供たちへの教育がないがしろにされ、悪化している。こうしたこととも関連するのか、ブックフェアは単なる出版社間の展示会場となり、出版業界のビジネス事業となったいるような印象だった。研究書やパンフレットを出版している民間の研究所なども出版物の展示をしていたが、多額の場所代を出さなければならないという。第一日目は金曜日でもあったので、一般の参加者は少なかった。第二日目は土曜日で、国民の休日「青年の日」でもあったことから、大勢の参加者があった。しかし、規模としては以前ほどの参加者はなく、やはり書籍代が高いということもあり、本離れが進んでいる感がした。第三日目は日曜日だったが、参加者は少なかった。
 私にとっては会場で友人たちに出会えたことは何よりの収穫だった。今回のケープタウン訪問は短期間であり、予定が決まっていたので、ほんのわずかな友人にしか知らせていなかったが、ブックフェアの会場で一度に多くの友人に会えた。グギとは久しぶりの再会でもあったし、ジンバブエ・ブックフェアの主催者の一人であったヴァージニア・ピリ(当時ジンバブエ女性作家同盟議長)、南アフリカの女性作家シンディウェ・マゴナ、デズリー・ルイス、メアリー・ハイムズ、モニカ・シバー等などにも会えた。
写真はグギ・ワ・ジオンゴと展示会場