Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

鶴見俊輔の問いに 冷暖房機の故障

28日(土)本の整理が止まらない。一冊づつ手にして、購入したときの思いや何が書いてあったのかを思い出そうとするが、忘れてしまっていることが多い。一度も読まないでいたものも多くある。雑誌はかなり以前に処分したが、何冊かは残っていた。『現代思想』10月臨時増刊号(2015 vol.43-15)は、「総特集ー鶴見俊輔」。2015年7月に亡くなられた直後の追悼号だった。海老坂武が巻頭エッセイを寄稿していた。戦没兵士たちが残した手紙や手記の中に書かれていた「自分は國のために死ねるか」という問いかけから始まる。海老坂は「心に葛藤を覚えながらも多くの若者は「殉国」「報国」の観念を植え付けられて死んでいった」と書く。鶴見俊輔の日記に「人を殺すよりは自殺しようという用意をするだけで終わってしまった」と書かれていたことを紹介。鶴見は問いに対して「否」の決断を選び、その用意をしていたという。「國」のためには死ねないという答えだ。

 現在に同じ問いをしたとすれば、若者たちは、鶴見とは違う形であれ、「否」を表明したり、戦争に反対するだろうか。前の戦争の時と同じく「国」のために戦うのだろうか。いまの政権が防衛費を増やそうとしているのは、誰のためなのか、どこの「国」のためなのか、非常に曖昧だ。そういう中で、若者も年配者も自己と正面から向き合って答えがだせるのだろうか。鶴見俊輔や海老坂武のように、真摯に社会と向き合う「知識人」がいなくなったと思った。時代が変わったのだろうか。

 時には本の整理もいい。忘れていた本も、読んでいなかった本も新鮮な気持ちで向き合える。そんな楽しい時間があった。冷暖房機が壊れた。「プッシュー」と音をたてて、暖かい空気がでてこなくなった。もう20年も使っているので、いいかと思う。冷暖房機なので、年中使っている。6月に寝室の冷暖房機が壊れ、運良く翌日に設置してくれた。29日(日)朝一番でヨドバシカメラに買いにでかけた。10畳ほどの部屋の冷暖房機なので、大きいのはいらないが、6月に購入したものから、ずっと価格が高騰していた。半導体が少なくなっていること、燃料費の高騰などなどを理由に家電製品の高騰には驚く。食料品の値上がりは、10円、100円単位の値上がりだが、家電製品はそうではない。本当に身に染みて、物価の高騰に直面した。家のなかでは貼るカイロを身につけ、ダウンのジャケットを着て、冷暖房機の口が見えるように机を移動しなければならない。明日には新しい冷暖房機の設置にきてくれる。ラッキーなことだったが。