Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

10月10日 ノーベル文学賞の発表

10月10日、夜8時ノーベル文学賞の発表があった。2018年度と2019年度の受賞者二人が受賞した。18年はポーランドのオルガ・トカルチュク、19年がオーストリアのペーター・ハントケハントケに対しては、すぐさまアメリカ・ペン協会は抗議文を出した。政治的立場から、ユーゴスラビア紛争の時に、セルビア側にたったということと、歴史を歪めているという点を指摘しているが、私にはわからない。彼の作品を読んだことがないので。

 もう一人のポーランドの女性作家も知らないので、コメントのしようがないが、今回のノーベル文学賞の受賞に至る経過をスウェーデン・アカデミーが発表する場面をライブ配信で見ていた。スウェーデン語は全くわからないので、英語で紹介された時に、ケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴでも、日本の村上春樹でもないことだけはわかった。

 毎年、グギと春樹はイギリスの賭け屋での予測では一位と二位を競っていた。昨年は、ノーベル文学賞を決定する委員会の委員の不祥事(セクハラなど)から、委員の交代と受賞停止があった。誰もが予想しなかった、ボブ・デュランが受賞したり、ベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシェビッチが選ばれたりした。今回もそうだが、ヨーロッパ中心主義のような気もする。

 アフリカ人作家のグギ・ワ・ジオンゴの作家としての社会的、文学的役割、影響は大きいが、なかなか評価されない。身贔屓ではなく、純粋にアフリカ文学の確立に大きな貢献をしてきたが、彼の作品は、ケニアやアフリカの状況をリアルに描写してきた。新植民地主義の下で、民衆が翻弄される様子を描くことで、世界資本の秩序の中でアフリカの置かれている状況が明らかになっている。日本でも同じことが起こっている。アメリカ中心主義の中に取り込まれ、私たちごく普通の人びとの生活が翻弄されている。毎年、文学の本質を考えさせられる。