Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

David Attwell氏の講演会

 南アフリカの研究者 David Attwellさんが立命館大学で講演されるというのでお誘いがあった。彼はJ.M.クッツェの研究者。クッツェは南アフリカ人でノーベル文学賞を受賞した作家だ。クッツェはケープタウン大学で教鞭をとっていたが、ノーベル賞を受賞後にオーストラリアのアデレードに移住した。彼のパートナーはドロシー・ドライバーで私は彼女との交流が深い。同じく南アフリカの女性作家の研究に関わり、いろんな場面でお会いし、意見交換することも多くあった。また彼女はケープタウン大学でアフリカ文学を教えていて、彼女の授業にも3ヶ月出席したことがある。

 デイビッドとは、1995年にピーターマリツッバーグで開催された会議で初めて出会い、その後、アフリカ文学会でお会いしたことがある。そして共通の友人が多くいるということで、ディビッドのリクエストでお会いすることができた。彼の講演会はクッツェの古い作品の分析と文体に関するものであった。そこに出席していた人は非常に少なかったが、クッツェの作品を読んでいない人には、クッツェへの魅力などはわかりにくかったかもしれない。私自身はクッツェがノーベル賞の対象となった『恥辱』(Disgrace)の作品に対しては、いろいろと問題があると捉え、クッツェへの評価は異なる。さらにその後に発表した作品 Slow Manなどにも疑問が多くある。おそらく、私にはクッツェの作品を文学批評としてのみ捉えられない視点がある。人間模様は社会や政治とは切り離せないものだと考えている。

 講演会の後、居酒屋で夕食を共にした。お惣菜や天ぷら、刺身の典型的な京都のおばんざいだった。ディビッドはとても食事を楽しんでいた。

 母のことがあったとはいえ、南アフリカ文学からしばらく遠ざかっていたので、早く復帰したいと思った。次から次に用事やお誘いやらで今はゆっくりと本を読む時間がないが。