Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

女性を締め出す社会 東京医大の入試判定で

 東京医科大学が入学試験から女子学生を締め出していたという。その理由として、女性が医者になった場合、子育てや家庭生活があり、緊急の呼び出しに応じられないので、勤務医にできないと説明された。男性医者なら、家庭生活を犠牲にしてもいいということなのだろうか。これは働き方の改革の問題であり、女性医師は不要だという問題とは関係ない。さまざまな理由付けをして、女性を大学で学ぶレベルから締め出すものでしかない。裏口入学とはまったく違う質の問題である。

 女性医師のどこが悪いのだろうか。最近、長年通っていた大手の眼科医で不愉快なことがあった。白内障の診断を受け、手術をする段階で、私自身が糖尿病があるので、手術ができないと言われ、診察すら受けることができなかった。問答無用という態度だった。「私には科学的データが必要なんです」と言い切り、内科医の診断書を持ってこなかったことで、私をなじった。白内障でかかるのは、はじめてのことなので、なんのことかも理解できなかった。あまりにも高圧的態度と、「科学的データ」、数字上のデータを基準とした対応に怒りがこみ上げてきた。予約制であるにもかかわらず、2時間は平気で患者を待たせる態度にも怒りがこみ上げてきた。医者の傲慢な態度に腹がたった。

 最近二人の友人が白内障の手術を受けた個人病院を紹介してもらって、そちらで診察を受けることにした。糖尿病患者の手術は、網膜はく離を起こしやすいし、手術による出血が止まらない場合があるので、糖尿病のヘモグロビン値を安定させなければならない。この点は私も十分に理解している。

 個人病院では3ヶ月、私の白内障の経過を診察してくださり、糖尿病からきた白内障ではないし、眼球自体には問題がないので、この8月末に手術をすることになった。先生は長年、京都大学病院の眼科医長を務めてこられたが、歴代つづく眼科医を親から引き継ぐために個人病院に移籍された方だ。とても丁寧に説明してくださり、よく目の奥まで診察してくださる。こうした人間的な関係が医者と患者の間には必要なのではないだろうか。この先生の紹介で、手術自体は博愛会病院で受けることになった。女性の医師である。

 以前の、糖尿病のかかりつけの医師は男性だったが、その先生が病院を変わられて、家からかなり遠く離れたところまで通わなければならなくなった。男性の医師は私に精神的に圧力をかけてくるのと、遠距離への通院が苦痛になってきた。そこでネットで調べて自宅に近い個人病院を探し得た。女性の先生で、とても親身になって健康指導をしてくださった。それだけでも精神的安心感を得られた。糖尿病などは生活習慣病なので、どれだけ私自身が病気と闘い、どんな生活を送るかを自己チェックしていくかにかかっている。とても改善されたり、気が緩むと悪化したりする。自分自身ではその自覚がまったくないが、血液検査でしっかりと数値が示される。

 ここで言いたいことは、男性医師は、数値を判断基準とし、それだけを頼りにして、医師としての責任を果たそうとするものであり、患者の気持ちなどはまったく無視してきた。

 期せずして、「患者と医者との相性がある」といわれたことがあるが、「相性」なんかで病気を治せるのなら、とんでもないと思う。「男性医師」は立派という「神話」がなくならない限り、病気など治らない。

 私はすばらしい「女性医師」との出会いによって、私の「病気」が改善されていくような気がしている。「気の病」が半分解決されているからだ。

 しかし、女性医師がすべて無条件にいいわけではない。母が大腿骨骨折の手術のあと転移した病院の担当は、若い女性医師だった。この人はとても乱暴な人だった。患者の現状を無視して、自分の勤務時間だけを守り、まったく患者とも家族とも会おうともしなかった。たった一度だけの月一回の会議だけで、自分の意見を述べるだけだった。とても信頼できる状況にはなかった。私たち兄妹は毎日夕方から翌朝まで狭い母の病室で寝泊まりをして、約2ヶ月近く看護した。夜のトイレなどの付き添いなども大変だった。夜勤の看護婦さんは手薄なので、特に私たちの母には手が取られるので家族が介護してほしいと最初からいわれた。医師はそうした状況にはなんの手立てもしなかった。リハビリを嫌がる母へのケアーはまったくなく、ただただ、眠らせるために睡眠薬などを増やして、昼間は眠らせるようにしたり、夜は眠れないようにしていた。とても不快な処置しかしてもらえなかった。私たち家族には何の説明もなかったし、こちらが申し入れても無視された。医者としてもリハビリ病院の勤務は本位の仕事ではなかったようだ。

 医者になる人は、女性でも、男性でも、人間的な関係のなかで、病気を治療していく専門家である。性別は関係なく専門技術に特化した人であってほしい。

 医者になるための勉強をする入り口で、女性であるからというだけの理由で門前払いされるのは、どうしても納得できない。