Mwenge Keikoのつれづれ日記

アフリカの人びとや文化の出会いを通して

香港の空港で

 成田発午後6時25分発、ANA便で香港着9時35分(現地時間。1時間の時差、日本時間は10時35分)。そして簡単な手荷物検査を受け、SA287便ヨハネスブルグ行きを待っている。いつものルートだが、2時間ほどの待ち時間で、あと12時間ほどで南アフリカに着く。結構長い時間だが私はこのルートがいい。他にはシンガポール航空ケープタウンに乗り入れがあるが、私はケープタウンヨハネスブルグも訪ねたい。ずっと以前はヨーロッパ経由(イギリス、オランダ、ドイツ)で南アフリカに出かけていたが、ヨーロッパまで12時間、またそこから南アフリカまで12時間かかるので、もうその体力はない。
 香港までは9割がたが中国人だった。中国から日本に商用、旅行などできている人がそれだけ多いということだ。以前は、香港がアジアやヨーロッパへの中継地であったこともあり、いろんな国籍の人がいたように思うが、いまは中国人が多い。
 飛行機のなかで、木下恵介生誕100年記念映画「はじまりのみち」(原恵一監督)をみた。戦時中の異常な日本の様子と、木下恵介の人間ドキュメントを撮り続けた姿勢がよくわかった。母役は田中裕子と恵介役の加瀬亮はすばらしかった。木下恵介の映画人としての原点が母への思いにあるのがよくわかった。『二十四の瞳』、『喜びも悲しみも幾歳月』、『楢山節考』などを観てきた私たちの世代には、木下恵介の人間ドラマを通して、社会や人間のありようを学んできたように思う。と同時に、あの戦争が異常なものであったことを改めて思った。戦争は人間を不幸にするものでしかない。いま、簡単に憲法を変えようとか、麻生氏のようなナチズムを持ち出したり、橋下氏の従軍慰安婦発言など、戦争につながる発言が物騒でたまらない。

 香港で南アフリカ行きの乗り換えでは、商社マンらしい日本人、南アフリカ人、中国人などがいる。真夜中だから誰もが静かに次の便を待っている。明日の朝(現地時間)にはヨハネスブルグ、そしてお昼にはケープタウンに着く。長旅だけれども、暑い日本の夏から逃れて、冬の南アフリカで静かに過ごしたいと思う。